23年度第1回研修会、オンラインで開催

公益財団法人同盟育成会は9月12日に2023年度の第1回奨学生研修会をオンライン形式で開催しました。7月に採用されたばかりの奨学生を含め、全国の大学から多数が参加しています。また、財団の理事や奨学生選考委員も視聴しました。

 

橋場義之元上智大学教授の写真
橋場義之元上智大学教授

研修会では、福山正喜理事長のあいさつに続いて、奨学生のレポートの講評もしている橋場義之元上智大学教授が「ナラティブ(Narrative)と私たち」と題して講演しました。

 

橋場氏はおとぎ話の「桃太郎の鬼退治」を例に挙げ、narrative(物語)とは①5W1Hを用いて出来事を説明する(創作、実話)、②説明は時間の流れに沿うが、どこから始めてもいい、③何らかの意味を含めているが話し手、聞き手次第-と定義。物語を通じて、個人や集団の価値観が形成されると指摘しました。

 

ニュースも、この範ちゅうに入る場合があるが「確認された事実」を基づいている上、少ない個別事情から一般化しないことが大事だと、ジャーナリスト志望の奨学生に語りかけました。

ノンフィクション作家で毎日新聞契約記者の藤原章生氏の写真
ノンフィクション作家で毎日新聞契約記者の藤原章生氏

次に、ノンフィクション作家で毎日新聞契約記者の藤原章生氏が「世界を歩いて学んだ『人の心』」の演題で50分にわたり、講演しました。

 

ヨハネスブルグ、メキシコ、ローマで特派員を務めた経験も踏まえ、世界各地で広がる差別の問題に言及。反差別運動をする人たちの「糾弾調」で「優越性」を持った口調では、運動家の周辺の人たち以外には伝わらないのではないかと思ったと語りました。

 

さらに「どう書いたら、差別的な意見が減り、暮らしやすい世の中になるか」と自問する中で「外の世界、現象や事件を見て考えるのも悪くないが、自分の中の差別感覚や感情がどう生まれ、どう変わって来たか、掘り下げることが有効」と考えるようになったと明らかにしました。

 

差別に関わる内容でなくても「モノを書くときには、自分の経験の積み重ねが響いてくる」「ジャーナリストはセンサーであり、目の前の出来事に対し『これは何だ』と疑問を持つセンスが大事だ」と記者としての心構えを説きました。


講演終了後、奨学生からは「narrativeと言説の違いは何か」「自分の差別感覚や価値観の変化をつかむにはどうすべきか」「海外取材で心掛けていたのは何か」など、多数の質問が寄せられ、2人の講師が丁寧に答えていました。