第1回研修会、学部生と院生で分けて開催

 同盟育成会は9月12、13の両日に2022年度の第1回奨学生研修会をオンライン形式で開催しました。新しい試みとして学部生(12日)と大学院生(13日)とに分けて実施してみました。奨学生、選考委員、財団の理事を含め、参加者は合わせて延べ90人以上が参加しています。

町田幸彦東洋英和女学院大学教授の写真
町田幸彦東洋英和女学院大学教授

 学部生の研修会では、町田幸彦東洋英和女学院大学教授が「戦地取材の現場と葛藤」の演題で講演し、この中で、1990年代のコソボ紛争を取材した経験から、実際に現地に赴く意味の大きさを訴えました。また、情報が偏らないように、戦争の当事者のうち、一方だけでなく双方から取材をすべきだと強調。日本国内にいる間に相当数の取材源を確保しただけでなく、現地の協力者をはじめ、信頼できる情報源の開拓することが大事だったと指摘し、情報源の確保に至る過程は国内取材にも通じると話しました。

 


毎日新聞の伊藤智永特別編集委員の写真
伊藤智永特別編集委員

 

 大学院生の研修会では、毎日新聞でコラム「時の在りか」を定期執筆している伊藤智永特別編集委員が「歴史への問い」と題して講演しました。伊藤氏は1960年代にE・H・カーの「歴史とは何か」が刊行されて以降の歴史学の変化に触れた上で、世界に幸せをもたらすと思われた冷戦崩壊が、新たな対立を生むことになった点に言及。米国のトランプ前大統領、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席らが一様に「帝国への夢想」を抱いている点に危機感を示しました。 


橋場義之氏の写真
橋場義之氏

  院生、学部生向け双方で講演した橋場義之氏は「模索するニュースメディアの自画像」の演題で、輸送インフラと印刷技術を背景に、情報分野で独占的地位を築いてきた新聞がネット時代の進行とともに対応に苦慮している実態を解説しました。今後、新聞がとるべき道としては「知るべきニュース」「知ってほしいニュース」を届けたいという従来型の自画像を維持する一方で、情報に対する小さな需要変化に素早く対応することが大切だと論じました。


 講演終了後、奨学生からは「取材先と信頼関係を築くにはどうすべきか」「今の時代に最も必要なコンテンツは何か」など多数の質問が寄せられました。