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同盟学寮「成人式」を白山寮で開催  同盟育成会の山内理事長らが祝辞

新春恒例となっている同盟学寮の「成人を迎えた寮生を祝う会」が1月20日(日)、白山寮で開かれた。市谷寮から女子寮生42人が駆けつけ、白山寮生38人と合わせ80人が出席した。午前11時、同盟育成会の佐藤陽信常務理事・事務局長が開式を告げ、成人を迎えた寮生21人(白山寮5人、市谷寮16人)のうち、出席した17人の氏名を1人ずつ読み上げた。呼ばれた寮生は次々に起立して会釈した(留学中やインフルエンザ感染などのため4人が欠席)。

まず山内豊彦理事長が「成人を迎えた寮生の皆さん、おめでとう」と、次のように祝辞を述べた。

「今年は14日が成人の日だった。それぞれ故郷で成人式に参加した人も多いと思う。同盟学寮の成人式は、学校も年齢も違ういろいろな人たち、同じ釜の飯を食べている仲間のみんなが祝ってくれる。ほかの寮ではあまり例を見ない行事かと思う。日本の将来を取り囲む環境は厳しい。人口減少と高齢化。2100年には日本の人口は5000万人位になる。今は1億1500万~600万人だから、半分以下の小さな社会になる。ただ江戸時代は3000万人、明治末期では5000万人だった。そういう時代が長くあり、経験済みだ」

「その経験を思い返して、将来の在り方にヒントがある。新たな縮小していく社会に向かって、切磋琢磨し、若い力、能力、知識を大いに活用してもらいたい。移民や高齢者、外国人労働者とかAI(人工知能)をどのように生かしていくかが課題となっていく。ぜひ皆さんの力で、日本の将来を少しでも明るいものにしていただきたい。ネット社会になり、フェイクニュースが横行し、それをあげつらうなどして面白くない風潮が蔓延している。新成人には新聞を読もうと言いたい。物事を正確に理解し、正しく伝達することが問われてくる。それには新聞が有力な手段となる。新聞を読まない人は損をしていると思う」

「記者が一人前になるには10年くらいかかる。きちんと取材、分析し正確に伝える文章を書けるようになるには20年くらいかかる。大新聞はそのような記者を1000人から2000人抱えている。心を込め、汗水たらして書いた文章にはうんちくがある。お薦めしたいのは、朝日の土曜日の別刷りで配られる『be』の中の『悩みのるつぼ』欄は実に面白い。相談者も答える方も必死で、生きざまをかけて書いている。毎日に週1回掲載されるワイド特集も、1面を使って練達の編集委員が書いている。ぜひ読んでみてください。突っ込んだニュース、角度を変えて工夫を凝らしたニュースの面白さを味わっていただきたい」

「新成人の皆さんは、今後2-3年学寮で暮らすことになる。卒寮生がかつて、有利な条件で暮らすには、ちょっと面倒な行事やルールがあると言った。前向きな意味で、体得しつつあるのではないか。寮生のみんなと協力し寮生活をより豊かなものにしてほしい。その経験は将来、必ず皆さんの力になる。ぜひ踏み台にして頑張っていただきたい」と結んだ。


 白山寮の黄田秀夫学寮長は「今日、2回目の成人式をこの白山寮で迎え、仲間の寮生たちに祝福されることは、きっと皆さんのよい思い出になるだろう。皆さんは、ご両親はじめいろいろな人たちの愛情を受けて、20歳を迎えたことをありがたいことだと感謝してほしい。そしてこれからは自分の好きな道を見つけ、歩み続けてほしい。『大人になる』ということは、自分以外の誰かを支え、見守るという役割も担うということかもしれない。多くの先輩たちの熱意や思いがあって、今の皆さんがある。今日から、皆さんもその仲間入り。これからも元気で楽しい学校生活、寮生活を過ごすように。そして立派な大人に成長するよう祈ります」と祝辞を述べた。

 次に、市谷寮の齋藤美保子学寮長は「大人の入り口に立った寮生の皆さんに、ぜひ自分の夢を持ってもらいたい。まだ20歳。何をするにも時間も体力も十分残っている。自分の才能を見限らずに、ぜひ人生の夢、目標を掲げてください。夢をかなえるには、かなりの知恵や行動力、節制が求められる。もしかなえられなかったとしても、身に付いたものは次の成長につながって、また次の目標を見つければよい。決して無駄なことはない。新成人の皆さんが、小さな夢、大きな夢、どんな夢でもかなえるよう頑張るように応援する気持ちと、期待を込めて祝辞とします」と述べた。

 この後、出席した新成人の寮生17人に、山内理事長から記念品の万年筆が1人ずつ贈られた。

 続いて、成人を迎えた寮生を代表し、白山寮の石原郁弥君が「本日は私たち新成人のため、このような会を開いていただきありがとうございます。20歳という年は法律的に子供から大人に変わる歳であり、多くの権利を獲得するとともに、たくさんの責任を負う歳でもある。人生の大きな節目を迎えた私が特に意識したいのは、自分と向き合い、自分を見つめ合うことだ。大学に入学し、この寮に入ってから2年が経過した。大学生活や寮生活を見直し、目標や進むべき道を自分の中でもう1度整理して、継続していくこと、改善すべきことをしっかり整理して、今後の生活に生かしていきたい」

「私は大学生活4年間を、社会に出るための最終準備期間ととらえている。残り2年間で、社会に出て、つまずかないように、小さな社会であるこの同盟学寮でいろいろなことをさらに学び、経験して将来の人生に生かしていきたいと思う。また周りの人に感謝の気持ちを忘れずに、これからの人生を楽しんでいきたいと思う。新成人をこれからも温かく見守ってください」と謝辞を述べた。

 市谷寮を代表して、酒井福さんは「大学生活でいろいろなことを学んだ。特に政治思想史が面白く、中でも日本の民主主義について、先生が『政治は身近なところに存在する』と言われた。政治的無関心を取り上げたが、この寮にも無関心が存在すると思った」「例えば、行事を休む人が多くて、この1年で罰の集計が多くなった。罰が機能していないのが問題だ。次期委員会で、新人委員の半分近くが抜けてしまう事態になった。すごくショックだった。寮生活の立ち位置が、生活の中で低くなっているのではないか」

「この寮を本当に必要としている人が、住みやすい寮にしていくべきだ。さらにこの寮を住みやすいものにするため、頑張りたい。残り少ない寮生活だが、さまざまな人と話し合って、いろいろなことを学びたい。SNSが発達して、実際に話し合う機会が少なくなっている。じかに話し合い、コミュニケーションを取ることを大事にして、これからの寮生活を送っていきたい」と謝辞を述べた。

 

終了後、赤飯の入ったお祝い膳を全員そろって、おいしくいただいた。